車検切れの車を回送してしまった…仮ナンバーの種類と違反リスクを解説

車検切れの車を回送してしまった…仮ナンバーの種類と違反リスクを解説

運送業界出身の行政書士が解説

「仮ナンバーつけたから大丈夫」
…それ、本当に大丈夫ですか?

会社から仮ナンバーを渡されて車検切れの車を回送した。よくある話です。でも「仮ナンバー」には種類があって、使える目的が違います。「渡されたから使った」では済まないケースもあるので、ここで整理します。

仮ナンバーには2種類あります

一般的に「仮ナンバー」と呼ばれるものには、2種類あります。これを混同しているケースが業界でも多いです。

① 臨時運行許可番号標(狭義の「仮ナンバー」)

  • 誰でも(個人でも)申請できる
  • 車1台ごとに申請が必要
  • 移動の経路・目的を申告する
  • 有効期間は最大5日間
  • 車検を受けるための移動も許可範囲に含まれる

② 回送運行許可番号標(ディーラー・陸送業者向け)

  • 一定条件を満たす業者のみ申請可能
  • 許可証の有効期限は最大1年(許可自体は一定期間ごとに更新が必要)
  • 期間内であればどの車にでも使い回せる
  • ただし申請した「目的」の範囲内に限られる

②は頻繁に車両を移動させる業者の利便性のために用意されているものです。しかし申請した目的の範囲を外れた使用は認められません。

⚠️ 「目的外使用」が問題になるケース

例えば新車ディーラーが「新車販売目的」で回送運行許可を取得している場合、許可範囲に含まれるのは主にこのあたりです。

販売した車の納車
仕入れた車の引き取り
販売予定車の整備

一方、以下は許可範囲に含まれない場合があります。

下取り車の引き取り
単純な再車検のための移動
中古車販売の仕入れ(中古車申請していない場合)

※許可範囲は各陸運支局の裁量によって異なる場合があります。不明な場合は管轄の陸運支局へ確認することをおすすめします。

🚨 目的外使用・無許可回送になった場合のリスク

回送運行許可の目的外使用は、道路運送車両法第36条の2の条件から外れます。その場合、実態として無車検運行と判断される可能性があり、保険適用にも影響するおそれがあります。

運転者個人:無車検運行・無保険運行として道路運送車両法上の違反となる可能性があります

会社側:回送運行許可番号標の目的外使用として、行政処分や回送運行許可の取消等につながる可能性があります

事故発生時:保険が適用されないリスクがあり、損害賠償が全額自己負担になる可能性があります

「会社に言われたから」「短距離だから」では済まないケースがあります。

正しい対応方法は?

車検切れ車両を合法的に移動させるには、主に以下の方法があります。

方法①

臨時運行許可(仮ナンバー)を取得する

市区町村窓口で1台ずつ申請。最大5日間・特定経路のみ。車検のための移動も認められます。

方法②

車両を積載して移動する

キャリアカーやトレーラーに載せて運ぶ方法。自走しないため車検不要。

方法③

陸送業者(回送許可取得済み)に依頼する

適切な許可を持った業者に外注する方法。費用はかかりますが、法的リスクを抑えやすい方法です。

🔍 現場28年チェックポイント

「渡されたから使った」「昔からこうしてた」という話、現場では本当によく聞きました。でも知らなかったでは済まないのが法律です。特に事故が起きたときに保険が使えないとなると、取り返しがつかない。

「慣例だから大丈夫」が一番危ない。おかしいと思ったら、動く前に確認する習慣が身を守ります。

まとめ

仮ナンバーには2種類ある:臨時運行許可(誰でも申請可)と回送運行許可(業者向け)。使える目的が違います。

目的外使用はリスクあり:回送運行許可を目的外で使うと、実態として無車検・無保険運行になる可能性があります。

「慣例」は言い訳にならない:業界内の慣例であっても、法的なリスクは個人・会社双方に及ぶ可能性があります。不安な場合は早めに専門家へ確認してください。

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