COLUMN
休眠している運送業許可、
どうすればいい?【神奈川・2026年版】
横山輝明です。
「許可は持っているけど、今は動いていない。」
「廃業するけど、許可はどうすればいいのか。」
現場で28年間、運送業の現場を見てきたからこそわかることがあります。許可は会社の大切な資産です。正しく扱わないと、取り戻せなくなります。
物流は経済の根幹を支える血液のような存在です。一つの許可が止まることは、その分だけ運べる力が減ることでもあります。現場経験28年・危険物輸送経験ありの行政書士が、運送業許可を休止している場合の扱い方をわかりやすく解説します。
📦 現場エピソード
古紙回収をやっていた頃、一人でパッカー車を動かしていた業者さんがいました。いつも18時ギリギリに「もうすぐ着くので閉めないで待っていてください」と電話が来ていた。そんな日が続いていたのに、ある日からぱったり来なくなりました。
許可だけ残して、静かに消えていく会社がある。現場でそういう場面を何度も見てきました。
また、危険物輸送の積み場でよく見かけていたローリー会社が、ある時期からぱったり来なくなりました。後から聞いたら廃業していて、仕事はK社という大手が引き受けていました。
廃業すると仕事は大手に流れる。許可を持ったまま何もせずに終わるのは、もったいないと今でも思います。
運送業許可を休止している状態とは?
一般貨物自動車運送事業の許可を持ちながら、実際には事業を行っていない状態のことです。実務では「休眠許可」と呼ばれることがありますが、法令上の正式名称ではありません。
法令上は「事業休止」「事業廃止」「事業再開」という扱いになります。
許可は取得して終わりではありません。休止中も届出・報告の義務が続きます。報告義務等を怠ると行政処分の対象となる場合があります。
✅ 現場経験28年チェックポイント
休止許可でよくある3つの落とし穴:
- 放置:休止中も事業報告書・実績報告の提出義務がある。報告義務等を怠ると行政処分の対象となる場合があります
- 復活の落とし穴:休止中に車両・車庫・ドライバーの要件が変わっていることがある。「昔通ったから今も大丈夫」は通じない
- 譲渡の誤解:許可そのものを単独で売買することはできない。正しい手続きが必要
休止している許可、どうするか
①事業を再開する
車両・車庫・ドライバーの要件を改めて確認し、運輸局への手続きを行います。休止届を提出している場合は再開届が必要になります。休止前と要件が変わっている場合は変更届も必要です。
②事業譲渡・M&Aを検討する
一般貨物自動車運送事業の許可そのものを単独で売買することはできません。許可だけを切り離して譲渡することはできません。事業譲渡認可や会社のM&Aにより事業を承継する方法があります。手続きは複雑なため専門家への相談をおすすめします。
③廃業届を出す
事業を完全に終了する場合は、運輸局への廃業届が必要です。届出をしないまま放置すると、後々トラブルになることがあります。
🕊 経営・運営のヒント
私は行政書士を「代行業」ではなく「提案業」だと思っています。休止許可の相談でも、「再開する/譲渡する/廃業する」のどれが正解かを最初から決めつけず、会社の状況・人手・今後の見通しまで一緒に整理したうえで、最善の選択肢を提案するようにしています。
運送業に28年関わってきた立場から言えるのは、許可を一つ正しく動かすことが、ドライバーの仕事を守り、地域の物流を守ることにつながるということです。一期一会の気持ちで、最後まで責任を持って向き合います。
許可は放置しない。それだけです。
休止許可は「持っているだけでいい」ものではありません。再開・事業譲渡・廃業、どの選択をするにしても正しい手続きが必要です。
現場28年で見てきた会社の中には、許可を正しく扱えずに損をしたケースが少なくありませんでした。早めに動くことをおすすめします。

