下請けでも運送業許可は必要?無許可営業のリスクを行政書士が解説

下請けでも運送業許可は必要?無許可営業のリスクを行政書士が解説

行政書士あおばと合同事務所 代表行政書士 横山輝明

横山 輝明 行政書士あおばと合同事務所 代表

現場経験28年|運送業許可・巡回指導対策

神奈川県大磯町在住・東京都中野区事務所|首都圏即対応・ 全国対応可

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横山輝明です。運送業許可の世界では、「下請けだから許可なんて必要ない」「元請けの名義で運送しているから大丈夫」という誤解が、今でも一部で見られます。しかし、これは大きな誤解です。この記事では、下請けの立場であっても運送業許可が必要になる理由と、無許可営業が招くリスクについてまとめました。

下請けでも一般貨物自動車運送事業の許可は必要

運送業を営む以上、下請けであろうと元請けであろうと、一般貨物自動車運送事業の許可は必要です。貨物自動車運送事業法では、一般貨物自動車運送事業は「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を運送する事業」と定義されており、これを経営しようとする者は国土交通大臣の許可を受けなければならないとされています。事業の立場(元請けか下請けか)によって、この原則に例外が生まれるわけではありません。

「元請けの名義で運送しているから大丈夫」「実質的には手伝っているだけ」といった考え方で、許可を取らずに運送業務を続けているケースが見られることがありますが、実際に運送を行う事業者自身に一般貨物自動車運送事業の許可が必要である、という点は変わりません。

ポイント:元請けが許可を持っていても、それは元請け自身の許可です。下請けとして実際に貨物を運送する事業者は、別途、自らの許可を取得する必要があります。

無許可営業が招くリスク

無許可営業は、単なる法令違反にとどまりません。無許可で一般貨物自動車運送事業を経営した場合、貨物自動車運送事業法上の罰則の対象となります。また、無許可で働くドライバーは、事業者としての適正な保険・労務管理の枠組みの外に置かれるおそれがあり、万が一の事故の際に十分な補償を受けられないリスクにつながることがあります。

無許可営業が発覚した場合、処罰の対象となるのは、その事業を実際に営んでいる事業者自身です。元請けが許可を持っていることは、下請け自身の無許可営業を正当化する理由にはなりません。事業を継続できなくなるおそれもあるため、この点は経営上の大きなリスクとして認識しておく必要があります。

許可取得のハードルと、その意味

運送業の許可を取得するには、車両台数、営業所の要件、資金計画、運行管理者・整備管理者の選任など、複数の要件を満たす必要があります。特に資金面では、一定の自己資金を用意する必要があり、小規模な事業者にとっては負担が大きいと感じられることもあります。

ただ、これらの要件は、車両を適切に管理し、ドライバーを守り、安全な運行を確保するための基盤という側面もあります。許可取得のプロセスは、単なる手続きというよりも、事業を継続していく上での体制を整理する機会と捉えることもできます。

下請けとしての適正な取引環境

下請けという立場は、必ずしも一方的な従属関係を意味するものではありません。下請け事業者であっても、元請けと適正な契約を結び、適正な運賃を受け取る権利があります。

国土交通省は、トラック運送業の労働条件改善等を目的として「標準的な運賃」の告示制度を設けており、令和6年3月には新たな標準的運賃が告示されています。また、令和7年4月1日に施行された改正貨物自動車運送事業法により、真荷主とトラック事業者が運送契約を締結する際の相互の書面交付や、トラック事業者等が利用運送を行う際の委託先への書面交付が義務化されました。これらは、下請け運送会社が不当に低い運賃で働かされることを防ぐための制度であり、こうした制度を活用しながら、適正な条件での取引を進めていくことが大切です。

現場経験28年からのチェックポイント

水道工事・古紙回収・危険物輸送と、いろいろな元請け・下請けの関係を見てきた立場から言うと、「下請けだから」という理由で必要な手続きを後回しにしてしまう現場は、実際に少なくありません。ただ、許可や契約関係を整理しておくことは、元請けとの関係を守るためだけでなく、自分自身とそこで働く人を守るためのものでもあります。立場が下請けであっても、事業者としての責任は自分にあるという前提で、備えておくことをお勧めします。

よくある質問

  • Q. 元請けが許可を持っていれば、下請けは許可不要ですか?
    A. いいえ。実際に貨物を運送する事業者自身が、一般貨物自動車運送事業の許可を持つ必要があります。
  • Q. 無許可で運送していたことが発覚したらどうなりますか?
    A. 貨物自動車運送事業法上の罰則対象となり、事業の継続が困難になるおそれがあります。
  • Q. 下請けでも運賃交渉はできますか?
    A. 国土交通省の「標準的な運賃」の告示や、運送契約の書面交付の義務化など、適正な取引を後押しする制度が整備されています。個別の契約内容に応じて、適正な条件を求めていくことができます。

下請けという立場であっても、運送業許可は事業者自身が取得する必要があります。「元請けがあるから大丈夫」という考え方は、事業の継続を危うくするリスクにつながることがあります。まだ許可を取得していない場合は、早い段階で専門家に相談し、事業の体制を整えることをお勧めします。

参考資料

e-Gov法令検索「貨物自動車運送事業法」
https://laws.e-gov.go.jp/law/401AC0000000083

国土交通省「標準的な運賃」について
https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk4_000118.html

国土交通省「運送契約締結時の書面交付義務化」
https://www.mlit.go.jp/jidosha/content/001865379.pdf

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横山 輝明

横山 輝明

運送業専門 行政書士|宅建士

横山 輝明(よこやま てるあき)

行政書士あおばと合同事務所 代表/神奈川県大磯町在住

水道工事13年、古紙回収8年、危険物輸送7年。28年間、現場で働いてきました。

ドライバーとして走り続けた経験があるから、運送会社の経営者が何に困っているか、現場で何が起きているかを、説明されなくてもわかります。

「許可を取ること」だけがゴールではありません。取得後も巡回指導や監査に怯えず、無理なく続けられる会社をつくることが私の仕事です。

noteマネーピックアップ 累計 14 回達成

https://note.com/aobato_office

運送業・物流・法改正・AIに関する情報発信が、note編集部「noteマネー」のビジネス・経済分野で累計14回選出されました。

主な対応業務

一般貨物自動車運送事業の新規許可/変更届/Gマーク取得支援/巡回指導・監査対策/全国対応

保有資格

行政書士/宅地建物取引士/2級FP技能士/危険物取扱者(乙4)/大型・大型特殊・けん引免許/フォークリフト・玉掛け・移動式クレーン・車両系建設機械/敷金診断士

趣味

キャンプは長野のスウィートグラス、那須のキャンプ・アンド・キャビンズがお気に入り。温泉は酸ヶ湯と不老ふ死温泉に行ったことがあります。カラオケは浜田省吾、桑田佳祐などが好き。映画は『恐怖 1961』『バニーレークは行方不明』など、マニアックな作品も好きです。

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