運送業許可の休憩・睡眠施設とは|設置場所・広さ・設備の要件を行政書士が解説
公開日:2026年7月20日|行政書士あおばと合同事務所|※関東運輸局管内の公示等に基づく基準を前提に解説しています
・休憩施設と睡眠施設の違い
・営業所・車庫との位置関係
・10km・20kmルール
・2.5㎡基準
・物件選びで失敗しないポイント
運送業の許可申請を進めていると、営業所や車庫のことは早めに動くのに、休憩施設のことは後回しになりがちです。
ところが、休憩施設も許可の要件のひとつです。物件を決めた後に「ここでは休憩施設の基準を満たせない」と気づいても、簡単には修正がきかない。そういうケースを、私はこれまで何度か見てきました。
この記事では、運送業許可に必要な休憩・睡眠施設の要件を、できるだけわかりやすく説明します。
休憩施設と睡眠施設、何が違う?
まず整理しておきます。
一般貨物自動車運送事業の許可では、原則として「休憩施設」の確保が必要です。ドライバーが業務の合間にきちんと休める場所を確保しなければなりません。
「睡眠施設」が必要になるのは、乗務員に睡眠を与える必要がある場合です。事業計画や運行形態によって判断されます。たとえば長距離輸送で途中仮眠が必要なケースなどが該当します。日帰り運行が中心の会社であれば、睡眠施設が不要となる場合もありますが、必ず事業計画の内容をもとに確認してください。
・休憩施設→ 原則として、すべての許可申請で確保が必要
・睡眠施設→ 事業計画・運行形態に応じて判断。乗務員に睡眠を与える必要がある場合に必要
設置場所のルール
休憩・睡眠施設は、原則として営業所または車庫に併設しなければなりません。
「どこか別の場所に単独で設置する」という方法は認められていません。この点を誤解して物件を探している方が、意外と多いので注意してください。
車庫に併設する場合の距離制限
営業所に併設せず、車庫に休憩・睡眠施設を設置する場合には、関東運輸局の公示等に基づく基準として、距離のルールがあります。
| 営業所の所在地 | 車庫までの直線距離 |
|---|---|
| 東京都23区、神奈川県横浜市・川崎市 | 20km以内 |
| 上記以外の関東甲信越(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県) | 10km以内 |
この距離は実際の道路距離ではなく、直線距離(いわゆる「地図上の距離」)です。道路がどれだけ遠回りでも、直線距離が基準内であれば問題ありません。都道府県をまたいでも構いません。
※上記は関東運輸局管内の公示等に基づく基準です。他の運輸局管内では距離の基準が異なる場合があります。必ず管轄の運輸支局で確認してください。
設備・広さの基準
休憩施設の設備
休憩施設に求められるのは、「乗務員が適切に利用できる場所であること」です。
名前だけ「休憩室」と書いてあっても、実態が物置になっていたり、座る場所もないほど狭かったりするものは認められません。具体的には、休憩用のソファーや椅子が置かれていて、乗務員が実際に使える状態になっていることが必要です。広さについては明確な数値基準はありませんが、「適切な広さ」と規定されており、あまりに狭いと問題になります。
以前勤めていた古紙回収の会社では、2階が休憩室でした。長机が5列、椅子が15脚。冷蔵庫と電子レンジがあって、ポットにはお湯が常に入っていた。シンクはミニサイズでしたが、水道もちゃんとありました。インスタントみそ汁はハーベストで頼んでいたので、飲みたい人はいつでも飲める。裏には喫煙スペースもあった。
ホワイトボードもあって、誰かが事故を起こしたときはそこで会議をしました。なぜ事故が起きたのか。次はどうすればいいのか。みんなで意見を出し合う。ヒヤリハット表も作っていて、「この作業は危ない」「ここで焦りやすい」という話も共有していた。
休憩室は、ただ休む場所ではありませんでした。ドライバーが集まって、安全を話し合う場所でもあった。許可の要件として「適切な施設であること」と書かれていますが、本来そういう機能を持つ場所のことだと、現場にいた人間として思います。
睡眠施設の広さ
睡眠施設が必要な場合は、広さに明確な数値基準があります。
計算式:(同時に仮眠するドライバーの人数)× 2.5㎡ ≦ 睡眠施設の床面積
例)3人が同時に仮眠する可能性がある場合 → 7.5㎡以上の睡眠スペースが必要
「同時に仮眠する人数」がポイントです。全ドライバーの人数ではなく、同時に仮眠が必要になる最大人数で計算します。
営業所に併設するときの注意点
休憩施設を営業所の中に設ける場合、営業所スペースと休憩スペースをそれぞれ別の区画に仕切る必要があります。
壁を新たに作る必要は必ずしもありません。パーテーションなどで明確に区画されていれば認められる場合があります。ただし、それぞれの面積がしっかり確保・測定できる仕切り方が求められます。「デスクとソファーが同じ部屋にあるだけ」では、別区画とは認められません。
事務所の一角にソファーを置いて「ここが休憩スペースです」と申請しようとするケース。区画が明確に分かれていないと、要件を満たさないと判断されることがあります。事前に管轄の運輸支局に確認することをおすすめします。
申請前の確認リスト
□ 休憩施設は営業所または車庫に併設できているか
□ 車庫併設の場合、営業所からの直線距離が基準内か(10km または 20km)
□ 休憩スペースにソファーや椅子が置けるか・適切な広さがあるか
□ 乗務員が適切に利用できる状態になっているか
□ 営業所内に設ける場合、パーテーション等で明確に区画を分けられるか
□ 睡眠施設が必要な場合、1人あたり2.5㎡以上を確保できているか
□ 賃貸物件の場合、使用権原を示す契約書が用意できるか
まとめ
休憩・睡眠施設のポイントをまとめます。
- 一般貨物自動車運送事業の許可では、原則として休憩施設の確保が必要。睡眠施設は事業計画・運行形態による。
- 設置場所は営業所または車庫に併設。車庫に設ける場合は直線距離の制限あり。
- 休憩施設は「乗務員が適切に利用できる状態」が必要。物置では認められない。
- 睡眠施設は1人あたり2.5㎡以上の広さが必要。
- 営業所に併設する場合はパーテーション等で明確に区画を分けること。
物件を探す段階から、休憩施設のことも頭に入れて動いてください。営業所と車庫が決まった後に「休憩施設が取れない」と気づいても、物件から選び直しになることがあります。
判断に迷う部分があれば、早めにご相談ください。
よくある質問
Q. 営業所と休憩室は同じ部屋でもいいですか?
同じ部屋でも、パーテーション等で明確に区画が分かれていれば認められる場合があります。ただし、それぞれの面積が測定できることが条件です。仕切りなしに同室に置いてあるだけでは、別区画とは認められません。
Q. プレハブでも休憩施設になりますか?
プレハブでも、乗務員が適切に利用できる状態であれば認められる場合があります。ただし、建築基準法・都市計画法などの関係法令に抵触しないことが前提です。設置前に管轄の運輸支局に確認することをおすすめします。
Q. コンテナハウスでも認められますか?
コンテナハウスについても、関係法令への適合と使用権原の確保が前提となります。構造・設備の状態によって判断が異なりますので、個別に管轄の運輸支局へご確認ください。
Q. 休憩施設は賃貸でも大丈夫ですか?
賃貸でも問題ありません。使用権原を示す賃貸借契約書等の書類が必要になります。契約期間については、許可予定日から概ね2年以上残っていることが求められます。
Q. 睡眠施設が不要なのはどんな会社ですか?
乗務員に睡眠を与える必要がない運行形態、たとえば日帰り運行のみを行う事業計画の場合は、睡眠施設が不要となる場合があります。ただし、事業計画の内容によって判断が変わりますので、申請前に確認することをおすすめします。
運送業許可の申請、一緒に進めましょう
行政書士あおばと合同事務所は、水道工事・古紙回収・危険物輸送と28年間現場で働いてきた行政書士が対応します。休憩施設の要件確認から許可申請まで、一貫してサポートします。
初回相談は無料です。
水道工事13年・古紙回収8年・危険物輸送7年。現場経験28年の運送業専門行政書士。神奈川県・中野区を拠点に全国対応。
note編集部「noteマネー」累計7回掲載。
🌐 https://aobato-office.com/

