運送業許可|基礎知識
運送業許可が取れない人とは?
欠格事由・前科・取消歴を行政書士が解説
行政書士あおばと合同事務所|横山輝明
横山輝明です。
運送業許可は、お金や営業所などの要件を満たせば取得できると思われがちです。しかし、実際には書類が揃っていても許可が下りないケースがあります。
一般貨物自動車運送事業の許可には「欠格事由」という制度があります。これに当てはまると、要件を満たしていても許可を受けることができません。
申請直前になって欠格事由が見つかると、それまで準備した時間や費用が無駄になってしまいます。事前に確認しておくべき内容をまとめました。
📋 この記事の内容
- 欠格事由とは何か
- 禁錮・懲役刑を受けた場合
- 過去に許可を取り消された場合
- 取り消しを受けた会社の関係者だった場合
- 処分逃れの自主廃業も対象になる
- 役員に該当者がいる場合も許可されない
- よくある質問
欠格事由とは何か
欠格事由とは、「この状態にある人・会社には許可を出さない」と法律で定められた条件のことです。貨物自動車運送事業法の第5条に規定されています。
要件(資金・車両・営業所など)をすべて満たしていても、欠格事由に該当していれば申請は通りません。書類審査の段階で弾かれます。
許可を取りたい本人だけでなく、役員や株主にも条件が及ぶ点が、この制度の特徴です。「自分は大丈夫だと思っていたのに、役員の経歴が問題になった」というケースもあります。
✔ 現場経験28年からのチェックポイント
実際にご相談でも、「自分は該当しませんよね」と確認される方は少なくありません。前科があっても5年が経過していれば問題ないケースもあります。ご自身で判断が難しい場合は、申請書を作り始める前に確認しておくことをお勧めします。
拘禁刑(改正前:懲役・禁錮)を受けた場合
1年以上の拘禁刑(刑法改正前の懲役・禁錮に相当)に処せられ、その執行が終わった日から5年を経過していない場合は、許可を受けることができません。
罰金刑については、一般的な罰金刑だけで直ちに欠格事由になるわけではありません。ただし、貨物自動車運送事業法など一定の法令違反による罰金刑は、欠格事由となる場合があります。申請前に管轄の運輸支局へ確認することをお勧めします。
5年が経過すれば申請できるようになります。「執行を終わった日」または「執行を受けることがなくなった日」が起算点です。
過去に許可を取り消された場合
一般貨物または特定貨物の許可を取り消されてから5年を経過していない場合は、再申請できません。
注意が必要なのは、法人が取り消された場合の扱いです。取り消しに関わる「聴聞の通知が届いた日の60日前以内」にその法人の役員だった人が、取り消しの日から5年を経過していない間は、別の会社で申請しても該当します。
つまり、「会社を閉めて新しく立ち上げ直せばいい」という話にはなりません。役員だった経歴が引っかかります。
📌 取り消し関連の欠格事由:整理
| 該当するケース | 欠格期間 |
|---|---|
| 自分(法人)が取り消しを受けた | 取り消し日から5年 |
| 取り消し前60日以内に役員だった | 取り消し日から5年 |
| 密接な関係者(株主など)が取り消しを受けた | 取り消し日から5年 |
取り消しを受けた会社の関係者だった場合
「密接な関係を有する者」が許可取り消しを受けた場合も対象になります。「密接な関係」とは、具体的には次のような立場の人です。
- 株式の過半数を持つ株主(実質的なオーナー)
- 資本金の半分超を出資している者
- 会社の経営方針を実質的に支配していると認められる者
- 上記に該当する者が支配する親会社の関係者
オーナー社長が別会社で許可を取ろうとした場合、以前の会社の取り消し歴が自分に及ぶことがあります。「もう関係ない会社だから大丈夫」とは言えないケースが少なくないです。
処分逃れの自主廃業も対象になる
監査が入り、取り消し処分の手続きが始まった後に「では廃業します」と届け出た場合、これも欠格事由に該当します。
具体的には、
- 聴聞の通知が届いてから処分が出るまでの間に廃業届を出した場合
- 監査が行われた日から聴聞決定予定日までの間に廃業届を出した場合
いずれも、廃業届を出した日から5年間は新規申請ができません。「自主廃業すれば大丈夫」と考えても、このケースでは認められません。
✔ 現場経験28年からのチェックポイント
「廃業すれば帳消しになる」と思っていた方が実際にいます。監査が入った段階で弁護士や行政書士に相談しておけば防げたケースです。問題が起きてから動くより、起きる前に状況を整理しておくことが大切です。
役員に該当者がいる場合も許可されない
法人が申請する場合、その役員のいずれかが欠格事由に該当していれば、会社全体として許可が下りません。
取締役が複数いる場合、1人だけが問題を抱えていても申請は通らないということです。「自分は問題ない」だけでは不十分で、役員全員の経歴を確認する必要があります。
また、未成年の申請者の場合はその法定代理人、個人事業主の場合は申請者本人が対象になります。
よくある質問
Q. 罰金刑は欠格事由になりますか?
A. 一般的な罰金刑だけで直ちに欠格事由となるわけではありません。ただし、貨物自動車運送事業法など一定の法令違反による罰金刑は欠格事由となる場合があります。「自分の罰金刑が該当するか」は個別の状況によって異なるため、申請前に管轄の運輸支局または行政書士へご確認ください。
Q. 5年経てば必ず申請できますか?
A. 欠格事由が解消されれば申請自体はできます。ただし、その後の審査(資金要件・営業所要件など)は別途クリアする必要があります。
Q. 欠格事由に該当するか自分では判断しにくいのですが
A. 「該当するかどうか」の判断が難しいケースは少なくありません。特に役員の経歴が絡む場合や、関連会社が過去に取り消しを受けているケースは、専門家に確認することをお勧めします。
まとめ
欠格事由は、「悪質な事業者を運送業から締め出す」ための制度です。前科・許可取り消し歴・役員の経歴など、複数の条件が絡み合います。
申請の準備を進める前に、まず「自分たちは欠格事由に引っかかっていないか」を確認する。これが、許可取得を最短で進めるための第一歩です。
ご自身で判断が難しい場合は、申請書を作り始める前に確認しておくことをお勧めします。
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