運送業許可は譲渡できる?会社ごと引き継ぐ方法と注意点【行政書士が解説】

運送業許可は譲渡できる?会社ごと引き継ぐ方法と注意点【行政書士が解説】

2026年8月8日

行政書士あおばと合同事務所 代表行政書士 横山輝明

横山 輝明 行政書士あおばと合同事務所 代表

現場経験28年|運送業許可・巡回指導対策

神奈川県大磯町在住・東京都中野区事務所|首都圏即対応・ 全国対応可

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# 運送業許可は「譲渡」できるのか?28年現場を歩いた行政書士が率直に答えます

**更新日:2026年07月**  **執筆:横山輝明(行政書士あおばと合同事務所)**

## はじめに

運送業許可をそのまま売買できるのか、あるいは会社ごと引き継ぐことができるのか——こうした疑問を持つ方は少なくありません。EC物流の拡大で運送業に参入したい異業種の方、個人事業から法人化を目指す方、後継者のいない運送会社を引き取りたい方など、背景はさまざまです。

**運送業許可そのものを「売ります・買います」という取引は、法律上できません。**

ただし、**許可を持つ会社ごと譲り受けること(会社のM&A)は可能**で、実際にこの方法で許可を引き継ぐケースがあります。

私は水道工事13年・古紙回収8年・危険物輸送7年、合計28年間トラックと現場に関わってきました。今は行政書士として運送業専門で全国対応していますが、「許可の譲渡」についての誤解が現場レベルでいかに多いか、肌で感じています。

この記事では、正しい知識と実務の注意点を、できるだけ平易に解説します。

## 目次

1. 運送業許可は「個人・会社」に与えられるもの
2. 「許可の譲渡」と「会社ごと買収」は別物
3. 休眠会社の買収で許可を引き継ぐ方法
4. 引き継ぐ前に必ず確認すべき3つのこと
5. 許可が維持されているかどうかの調べ方
6. 行政書士として現場で見てきたリスク
7. まとめ:「許可ごと買う」は慎重に、でも有力な選択肢

## 1. 運送業許可は「個人・会社」に与えられるもの

一般貨物自動車運送事業の許可(いわゆる「運送業許可」)は、国土交通大臣から**特定の個人または法人**に与えられる行政処分です。

これは、たとえば免許証と同じ発想です。あなたの運転免許を他人に売ることができないように、許可を単独で「切り出して売る」ことはできません。

貨物自動車運送事業法には、許可の**譲渡・譲受け**に関する規定がありますが、これは許可単体の売買を認めるものではなく、**事業の全部または一部を譲渡する場合に、許可の地位を承継させる手続き**として定められています(貨物自動車運送事業法第30条〔事業の譲渡及び譲受け等〕)。

つまり「許可だけ売る」はできませんが、「事業ごと・会社ごと引き継ぐ」ことで、結果的に許可を受け継ぐことは可能です。

## 2. 「許可の譲渡」と「会社ごと買収」は別物

よく混同されますが、整理すると以下のとおりです。

| 方法 | 内容 | 許可の扱い |
|—|—|—|
| 許可単体の譲渡 | **不可**(法律上できない) | ― |
| 事業譲渡(一部または全部) | 事業を買い手に移す | 運輸局への届出・認可が必要 |
| 株式譲渡(会社のM&A) | 会社の株を買い取り経営権を取得 | 許可を保有する法人が存続するため許可も残る。ただし役員変更等が生じた場合は届出・認可が必要 |
| 吸収合併 | 許可を持つ会社を自社に吸収 | 合併の認可申請が必要 |

**最もシンプルなのは株式譲渡です。** 会社の株を全部(または過半数)買い取れば、その会社が持つ運送業許可ごと経営権を手に入れられます。

株式譲渡そのものについて国土交通省の認可が必要となるケースは通常ありません。ただし、M&Aに伴って役員や営業所・車庫など事業計画に変更が生じる場合には、届出や認可申請が別途必要になることがあります。

## 3. 休眠会社の買収で許可を引き継ぐ方法

実際のニーズで多いのが、**休眠状態の運送会社を買い取って許可を引き継ぐ**ケースです。

運送業に新規参入したい方にとって、許可の新規取得には次のハードルがあります。

– 審査期間:標準で**3〜5か月**(地域・時期によりばらつきあり)
– 資金要件:最低でも**600万円前後**の自己資金証明(車両・施設・運転資金の合算)
– 法令試験:常勤役員が受験して合格する必要あり
– 運行管理者の確保:5両以上なら有資格者1名以上が必要

休眠会社を買収すれば、これらをすでにクリアした会社を引き継げるため、**時間とコストの両方を節約できる可能性があります。**

ただし「可能性があります」と書いたのには理由があります。次の章で説明します。

> 📖 **合わせて読みたい**
> [休眠している運送業許可、どうすればいい?【神奈川・2026年版】](https://aobato-office.com/kyumin-unso-kyoka-kanagawa/)
> 神奈川県内で許可を眠らせている事業者向けに、再開・売却・廃止のそれぞれの手順を解説しています。

## 4. 引き継ぐ前に必ず確認すべき3つのこと

現場を28年歩いてきた私が、絶対に確認してほしいと思う点を3つ挙げます。

### ① 許可が今も生きているか

休眠会社の許可が、**すでに取り消されていないか**を確認してください。

許可取消しとなるケースは複数あります。長期間事業を行っていない場合や法令違反など、個別の事情によって判断されます。休眠届(事業休止届)を出さずに放置していた会社は、運輸局の調査を受けて許可が取り消されているケースもあります。

確認方法は後の章で説明します。

### ② 行政処分・違反点数の有無

過去の行政処分や違反歴は、買収後の事業運営に影響する場合があります。株主(オーナー)が変わっても、会社としての過去の処分歴がなくなるわけではありません。事前に内容を十分確認することが重要です。

「安く買えた」と思ったら、実は処分歴のある会社だった、というケースは実際に起きています。これは買収後に非常に大きなリスクになります。

### ③ 確定申告・青色申告の状況

休眠中も法人は毎年確定申告が必要です。2年連続で申告を怠ると、**青色申告の承認が取り消されます。**

青色申告が取り消されていると、欠損金の繰越控除が使えなくなるなど、税務上のデメリットが生じます。

また、税務処理の不備・未払い税金が残っていれば、買収後にそのまま引き継ぐことになります。売り手側から過去の決算書をきちんと開示してもらうことが必須です。

## 5. 許可が維持されているかどうかの調べ方

運送業許可の状況は、以下の方法で確認できます。

**① 国土交通省「一般貨物自動車運送事業者検索」**
国交省の公開システムで、許可を受けた事業者の情報を検索できます。公開されている情報から、許可を受けている事業者かどうかを確認できます。詳細は管轄運輸支局への確認も検討してください。

**② 売主からの資料開示・運輸支局への確認**
公開情報で確認できる範囲には限りがあります。まず売主に過去の行政処分記録や決算書の開示を求めるのが基本です。管轄運輸支局への確認方法については、専門家に相談するとスムーズです。

**③ 行政書士への依頼**
運送業専門の行政書士であれば、運輸局への照会も含めた調査をサポートできます。M&Aの意思決定前にプロに確認を依頼するのが確実です。

## 6. 行政書士として現場で見てきたリスク

ここは少し踏み込んで書かせてください。

私が危険だと感じるのは、**「許可ごと買えば楽に運送業を始められる」という甘い話に飛びついてしまうケース**です。

休眠会社は、何らかの事情で事業を止めた会社です。経営難・トラブル・後継者不在……理由はさまざまです。中には適切に維持管理されている会社もありますが、**十分な調査が必要なケースが少なくありません。**

特に注意が必要なのは:

– **運行管理者が不在になっている会社**:再開時に有資格者を確保しなければならない
– **車両が残っていない会社**:許可があっても、車両を揃える資金と時間が別途必要
– **事業計画変更の届出が必要な変更点が多い会社**:役員・社名・車庫・車両数など、変更が重なると手続きが煩雑になる

「書類は2割、コンサルは8割」と私は常々言っていますが、休眠会社の買収サポートはまさにコンサル部分が重要です。許可の確認だけでなく、再開に向けた事業計画全体の設計が必要です。

## 7. まとめ:「許可ごと買う」は慎重に、でも有力な選択肢

最後に整理します。

✅ 運送業許可は単体では売買できない
✅ 株式譲渡(会社のM&A)によって、許可ごと会社を引き継ぐことは可能
✅ 引き継ぐ前に「許可の有効性」「行政処分歴」「税務状況」の3点を必ず確認
✅ 休眠会社の買収は問題を抱えているケースが多く、専門家の関与が不可欠

運送業許可の新規取得が厳しい状況の中で、休眠会社の買収は確かに有力な選択肢です。ただし、「安い・早い」だけで飛びつくのは危険です。

私のような運送業専門の行政書士に相談しながら、慎重に進めてください。

## 運送業許可の譲渡・引き継ぎに関するよくある質問

**Q. 許可の取得には何か月かかりますか?**
A. 新規申請の場合、標準処理期間は3〜5か月程度です。地域・時期・申請内容によって前後します。

**Q. 休眠会社の許可が取り消されているか、自分で確認できますか?**
A. 国土交通省の事業者検索システムで一定の確認は可能です。ただし確実な確認は運輸支局への照会か、専門家への相談をお勧めします。

**Q. 株式譲渡後、運輸局への届出は必要ですか?**
A. 役員変更・社名変更・運行管理者変更など、事業計画に関わる変更が生じた場合は届出または認可申請が必要です。変更内容によって手続きが異なるため、事前に確認してください。

**Q. 個人事業主の運送業許可は譲渡できますか?**
A. 個人に与えられた許可をそのまま第三者へ譲渡することはできません。法人化や事業承継の場合でも、手続き方法はケースによって異なります。まずは専門家にご相談ください。

**Q. 運送会社を買収すればすぐ営業できますか?**
A. 必ずしもそうではありません。運行管理者・整備管理者の確保、営業所・車庫・車両などの要件を満たし、必要な届出・認可を済ませる必要があります。買収後の準備期間も含めてスケジュールを組むことが大切です。

**Q. 行政書士あおばと合同事務所に相談できますか?**
A. はい、ご相談はお気軽にどうぞ。許認可申請(運送業許可・変更届等)は関東エリアを中心に対応しております。巡回指導対策・コンサルティングはオンラインで全国対応しております。初回相談は無料です。

※本記事は2026年7月時点の法令・公表情報をもとに作成しています。制度改正や個別事情によって取扱いが異なる場合がありますので、具体的な案件は管轄運輸支局または専門家へご相談ください。

**著者:横山輝明(行政書士あおばと合同事務所 代表)**
水道工事13年・古紙回収8年・危険物輸送7年の現場経験を持つ運送業専門行政書士。東京都行政書士会登録(第26081402号)。運送業許可・変更届は関東エリア対応、巡回指導対策・コンサルティングはオンラインで全国対応。

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