運送業許可の種類を徹底解説|緑ナンバー・黒ナンバー・利用運送の違いとは
更新日:2026年7月19日|行政書士あおばと合同事務所
「緑ナンバーと黒ナンバーの違いは?」
荷物を有償で運ぶ事業を始める際に必要な制度は、使う車両や事業の形態によって全く異なります。間違えると無許可営業になるリスクもあるため、最初に正確に把握することが重要です。
この記事では、代表的な4つの制度を体系的に整理し、それぞれの特徴・要件・手続きの違いをわかりやすく解説します。
- 運送業の代表的な4つの制度
- 一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)
- 特定貨物自動車運送事業
- 貨物軽自動車運送事業2025年改正
- 貨物利用運送事業
- 旅客自動車運送事業との違い
- どの制度を選ぶべきか:判断フロー
- 貨物自動車運送事業法上の許可・届出が原則不要となる例
- よくある質問
1. 運送業の代表的な4つの制度
荷物を有償で運ぶ事業を始める際に検討する代表的な制度として、一般貨物自動車運送事業、特定貨物自動車運送事業、貨物軽自動車運送事業、貨物利用運送事業があります。前3者は貨物自動車運送事業法、貨物利用運送事業は貨物利用運送事業法に基づく別制度です。
| 制度 | 使用車両 | 手続き | ナンバー |
|---|---|---|---|
| 一般貨物自動車運送事業 | 普通トラック等(1ナンバー・4ナンバー・一定の8ナンバー車など) | 許可(地方運輸局) | 緑ナンバー |
| 特定貨物自動車運送事業 | 普通トラック等 | 許可(地方運輸局) | 緑ナンバー |
| 貨物軽自動車運送事業 | 三輪以上の軽自動車、125ccを超える二輪自動車 | 届出(運輸支局) | 事業用ナンバー(車種による) |
| 貨物利用運送事業 | 対象となる利用運送事業について自社車両の保有は要件ではない | 登録・許可(運輸局) | ― |
タクシー・バス・介護送迎など「人を運ぶ事業」は「旅客自動車運送事業」となり、まったく別の許可体系になります。本記事では「貨物(荷物)を運ぶ事業」に限って解説します。
2. 一般貨物自動車運送事業(緑ナンバー)
どんな事業か
他人の需要に応じ、普通トラック等を使用して有償で貨物を運送する事業です。普通トラックを使った宅配・引越し・食品輸送・建材配送などが該当します。なお、軽自動車のみを使う場合は貨物軽自動車運送事業となることがあります。
主な許可要件
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 車両 | 原則として、営業所ごと・事業用自動車の種別ごとに5両以上が必要です。ただし、霊きゅう運送など一定の事業には例外があります |
| 人員 | 運行管理者・整備管理者・事業計画に応じた運転者を確保する必要があります |
| 営業所 | 営業所として適法に使用できる土地・建物であることが必要(用途地域等の確認が必須)、使用権限の証明が必要 |
| 駐車場 | 営業所と車庫の距離・収容能力・前面道路などが、管轄地方運輸局の審査基準に適合する必要があります。距離基準や必要資料は地域・道路条件によって異なるため、申請先の最新基準を確認します |
| 資金 | 車両費、営業所・車庫費、人件費、燃料費、保険料など、事業開始に必要な所要資金を個別に積算し、それを賄う自己資金を確保する必要があります。必要額は事業計画によって大きく異なります |
許可取得までの期間と費用
許可までの期間は管轄運輸局や補正状況によって異なります。地方運輸局の案内では、申請後おおむね3〜5か月程度とされる例がありますが、法令試験の不合格や書類補正がある場合はさらに長くなることがあります。
一般貨物自動車運送事業の新規許可を受けた場合は、登録免許税12万円が必要です。具体的な納付方法と期限は、許可後に交付される案内に従います。
私は28年間、水道工事・古紙回収・危険物輸送の現場でトラックを動かしてきました。一般貨物の許可を取る方が最初に戸惑うのは「駐車場前面道路の幅員確認」です。道路の種類や管轄行政庁によって確認方法が異なり、申請者による実測だけでは幅員確認資料として認められない場合があります。申請先の運輸支局に早めに確認を取ることをおすすめします。
📄 関連記事:白ナンバーで運送業は違法?黒ナンバー・緑ナンバーへの正しい独立ステップを解説
3. 特定貨物自動車運送事業
どんな事業か
特定の荷主の需要に応じ、その荷主に係る貨物を運送する事業です。荷主や運送需要の範囲は許可内容に基づくため、他の荷主の貨物を自由に運送できる一般貨物とは異なります。たとえば、特定のメーカーの専属輸送請負などが該当します。
一般貨物との比較
| 一般貨物自動車運送事業 | 特定貨物自動車運送事業 | |
|---|---|---|
| 荷主 | 他人の需要に広く応じる | 特定の荷主 |
| 許可審査 | 一般貨物の審査基準に適合する必要があります | 施設・人員・資金等に加え、特定の荷主に係る安定した運送需要など、特定貨物としての事業成立性が審査されます |
| 将来の拡張性 | ◎ 複数の荷主と幅広く契約可能 | △ 荷主や運送需要の範囲変更には事業計画変更等の手続きが必要 |
将来、現在の特定荷主以外からも運送を受託する計画がある場合は、一般貨物自動車運送事業を含めて検討する必要があります。どちらが適切かは、荷主との契約、運送需要、将来の事業計画を踏まえて判断します。
4. 貨物軽自動車運送事業 2025年改正
どんな事業か
三輪以上の軽自動車または排気量125ccを超える二輪自動車を使い、荷物を有償で運ぶ事業です。「許可」ではなく「届出制」であるため、個人が参入しやすい形態です。
📄 関連記事:一般貨物と軽貨物の違いとは?緑ナンバー・黒ナンバーを徹底比較【神奈川】
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車両の種別と手続き
| 車両種別 | 手続き | ナンバー等 |
|---|---|---|
| 三輪以上の軽自動車 | 貨物軽自動車運送事業の届出 | 事業用の黒地・黄色文字ナンバー(黒ナンバー) |
| 排気量125ccを超える二輪自動車 | 貨物軽自動車運送事業の届出および二輪車の事業用登録手続き | 四輪軽自動車の黒ナンバーとは取扱いが異なる |
| 排気量125cc以下の二輪自動車 | 貨物軽自動車運送事業の対象外 | ― |
| 普通トラック(1ナンバー・4ナンバーなど) | 一般貨物自動車運送事業の許可が必要 | 緑ナンバー |
2025年4月から強化された安全対策
法令改正により、2025年4月1日から貨物軽自動車運送事業者に対する安全対策が強化されました。ただし、軽自動車(四輪・三輪)を使う事業者と、バイク便(三輪の軽自動車や二輪自動車を使う事業)では、義務の範囲が異なります。
三輪の軽自動車または二輪自動車を使う事業(バイク便)は、安全管理者の選任・業務記録の作成・特定運転者への指導と適性診断などが対象外です。一方、事故記録の作成と一定の事故の国土交通大臣への報告は、バイク便を含む全事業者が対象となります。
バイク便を除く事業者に適用される主な義務
- 営業所ごとに貨物軽自動車安全管理者を選任し、運輸支局等へ届け出る
- 安全管理者講習および定期講習を受講させる
- 業務記録を作成し、1年間保存する
- 初任運転者・高齢運転者・事故惹起運転者に特別な指導を行い、適性診断を受診させる
- 貨物軽自動車運転者等台帳を作成し、営業所に備え置く
バイク便を含む全事業者に適用される義務
- 事故記録を作成し、3年間保存する
- 一定の事故が発生した場合、国土交通大臣へ報告する
既存事業者の経過措置
2025年3月31日までに貨物軽自動車運送事業の経営届出を行った既存事業者には、次の経過措置があります。
- 貨物軽自動車安全管理者の選任:2027年3月まで
- 初任運転者等への特別な指導・適性診断の実施:2028年3月まで
2025年4月1日以降に経営届出を行った事業者には経過措置がなく、貨物軽自動車安全管理者については経営届出後、速やかに選任・届出を行う必要があります。その他の安全管理義務についても、法令で定められた時期から対応が必要です。
また、届出車両については自賠責保険に加え、届出先が示す条件を満たす任意保険または共済への加入状況を確認してください。必要な補償額や提出書類は、管轄運輸支局の最新の届出案内・宣誓書で確認します。
5. 貨物利用運送事業
どんな事業か
荷主から貨物の運送を引き受け、実際の輸送は他の運送事業者(実運送事業者)に委託する事業です。荷主との運送契約は自社で締結し、運送責任を自社が負う点が特徴です。貨物利用運送事業法に基づく制度であり、貨物自動車運送事業法とは根拠法が異なります。
第一種・第二種の違い
| 第一種貨物利用運送事業 | 第二種貨物利用運送事業 | |
|---|---|---|
| 対象 | 船舶・航空・鉄道・トラックのいずれか一つの輸送モードを利用して運送サービスを行う事業 | 船舶・航空・鉄道による幹線輸送と、その前後のトラックによる集貨・配達を組み合わせ、戸口から戸口まで一貫して運送を引き受ける事業 |
| 手続き | 登録 | 許可 |
幹線輸送と前後の集配を組み合わせた一貫運送(いわゆる複合一貫輸送)は第二種の許可が必要です。第一種の登録のみで行った場合は無許可営業となる可能性があるため注意してください。
貨物軽自動車運送事業者のみを利用して貨物を運送する形態は、貨物利用運送事業法上の貨物利用運送事業には該当しません。契約形態によっては運送取次ぎ等に当たることがあるため、個別確認が必要です。
6. 旅客自動車運送事業との違い
「人を運ぶ」事業は旅客自動車運送事業に分類され、根拠法・許可窓口・要件がすべて異なります。ただし、例外として霊柩車による遺体の搬送は法律上「貨物」として扱われるため、一般貨物自動車運送事業の許可が必要です。
| 輸送の種類 | 事業区分 |
|---|---|
| 路線バス | 一般乗合旅客自動車運送事業 |
| 貸切バス | 一般貸切旅客自動車運送事業 |
| タクシー・ハイヤー | 一般乗用旅客自動車運送事業 |
| 特定の施設利用者・従業員等を対象とする送迎 | 契約形態等により特定旅客自動車運送事業など |
| 介護・福祉目的の有償輸送 | 一般乗用旅客自動車運送事業、福祉有償運送等の該当性を個別に確認 |
| 霊柩車(遺体搬送) | 一般貨物自動車運送事業(例外) |
7. どの制度を選ぶべきか:判断フロー
以下のフローで確認してください。
→ はい:貨物利用運送事業の登録・許可の要否を確認
→ いいえ、自社車両で運ぶ:STEP2へ
STEP2:使用する車両は?
→ 三輪以上の軽自動車、または排気量125ccを超える二輪自動車:貨物軽自動車運送事業(届出)
→ 普通トラック等(1ナンバー・4ナンバーなど):STEP3へ
STEP3:特定の荷主の需要だけに応じる事業か?
→ いいえ(複数の荷主と取引したい):一般貨物自動車運送事業
→ はい:特定貨物自動車運送事業の該当性を確認(将来の事業拡大も踏まえて選択)
8. 貨物自動車運送事業法上の許可・届出が原則不要となる例
以下の場合は、貨物自動車運送事業法上の許可・届出は原則不要です。ただし、道路交通法や道路運送車両法など他の法令上の義務は別途確認が必要です。
- 自社の貨物を自社の需要に基づいて運ぶ場合(他人の需要に応じた有償運送ではない場合)
- 対価を受け取らずに荷物を運ぶ場合(ただし有償性の判断は契約内容と事業実態による)
- 排気量125cc以下の二輪自動車で運ぶ場合(貨物軽自動車運送事業の対象外)
「無料配送」などの名目であっても、商品代金・会費・業務委託料その他の対価と運送との関係によっては、有償運送に該当する可能性があります。個別の契約内容と事業実態に基づく判断が必要ですので、判断に迷う場合は早めに専門家へご相談ください。
9. よくある質問
Q. 個人事業主でも一般貨物の許可は取れますか?
取れます。法人でなくても申請可能です。新規許可申請では法令試験が実施され、個人申請の場合は申請者本人、法人申請の場合は事業に専従する常勤役員のうち所定の者が受験します。具体的な受験者要件は管轄運輸局の実施要領を確認してください。
Q. 軽トラックで始めて、後からトラックに変えることはできますか?
できます。貨物軽自動車運送事業(届出)から一般貨物自動車運送事業(許可)へ移行する場合は、改めて許可申請が必要です。要件・審査・期間が異なるため、早めの準備をおすすめします。
Q. タンクローリーで危険物を運ぶ場合は別の許可が必要ですか?
他人の需要に応じ、有償でタンクローリーによる輸送を行う場合は、一般貨物自動車運送事業の許可が基本です。これに加えて、積載する危険物等の種類に応じ、消防法・毒物及び劇物取締法・高圧ガス保安法などの資格・容器・表示・取扱基準を確認する必要があります。なお、自社貨物を自社の需要に基づいて運ぶ場合は、貨物自動車運送事業法上の許可の要否が異なります。
Q. 引越し業は何の許可が必要ですか?
普通トラック等を使用して有償で引越貨物を運ぶ場合は、一般貨物自動車運送事業の許可が基本です。三輪以上の軽自動車のみを使用する場合は、貨物軽自動車運送事業の届出で行うことができます。使用車両と事業形態に応じて判断します。
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