運送業許可を運輸局に申請する前に知っておくべきこと|行政書士が手順・書類・注意点を解説

運送業許可を運輸局に申請する前に知っておくべきこと|行政書士が手順・書類・注意点を解説

行政書士あおばと合同事務所 代表行政書士 横山輝明

横山 輝明 行政書士あおばと合同事務所 代表

現場経験28年|運送業許可・巡回指導対策

神奈川県大磯町在住・東京都中野区事務所|首都圏即対応・ 全国対応可

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運送業許可を運輸局に申請する前に知っておくべきこと|行政書士が手順・書類・注意点を解説


運送業許可を運輸局に申請する前に知っておくべきこと
――手順・書類・よくある補正事例を現場目線で解説

2026年7月|行政書士あおばと合同事務所|横山輝明

横山輝明です。

「書類だけそろえれば許可は取れる。」
そう思って準備を始める方は少なくありません。でも実際は、それだけでは進みません。

営業所。車庫。自己資金。法令試験。ひとつずつ条件を満たさなければ、許可は取れません。

この記事では、運輸局へ申請する流れから、よくある補正事例まで書きます。事前に把握しておくだけで、準備の進め方はかなり変わります。

※本記事は2026年7月時点の法令・運用をもとに作成しています。制度改正により取扱いが変更される場合がありますので、最新情報は管轄運輸局へご確認ください。

「運輸局への申請」とはどういう手続きか

一般貨物自動車運送事業(いわゆる緑ナンバーの運送業)を営むには、貨物自動車運送事業法に基づく許可が必要です。申請窓口は、営業所を管轄する地方運輸局(運輸支局等)になります。

たとえば神奈川県内に営業所を置く場合は、関東運輸局神奈川運輸支局が窓口です。東京なら東京運輸支局、埼玉なら埼玉運輸支局と、営業所の所在地で管轄が決まります。

🔍 ポイント:個人でも法人でも申請できる

個人事業でも法人(株式会社・合同会社等)でも、許可申請は可能です。ただし、取引先の条件や信用面を考えると、法人で始めるケースが多いです。設立費用は株式会社で約25万円、合同会社で約6万円が目安(登録免許税)。

申請から許可まで、全体の流れ

申請してすぐ許可が下りるわけではありません。標準処理期間は3〜5ヶ月程度です。書類の不備があると、さらに長引きます。

1
事前準備(要件確認・施設の選定)
営業所・車庫・休憩睡眠施設の確保、車両5台以上の手配、運行管理者の確保予定を確認する。都市計画法・建築基準法への適合も、この段階でチェックが必要。

2
申請書類の作成・収集
許可申請書・事業計画書・残高証明書など十数種類の書類を準備する。書類の様式は国土交通省HPで入手できる。

3
運輸支局へ申請書提出
窓口受付は平日のみ。書類の受理後、2週間前後で「法令試験の通知」が届く。

4
法令試験の受験
申請書が受理された後、管轄運輸局から試験日程の通知が届く。法人なら常勤役員が受験する。30問中24問以上の正解で合格。

5
審査・補正対応
運輸支局が書類を審査する。不備があれば補正指示が来る。この間に車庫や施設の確認(現地確認)が入る場合もある。

6
許可通知書の受領・登録免許税の納付
許可通知書が届いたら、登録免許税12万円を納付する。この納付書の提出を忘れると手続きが止まる。

7
緑ナンバーへの切替え・運輸開始届の提出
車両を事業用(緑ナンバー)に変更し、運輸支局へ「運輸開始届」を提出してはじめて営業できる。

必要書類の一覧と注意点

書類の種類は多いですが、大きく分けると以下のカテゴリに整理できます。

カテゴリ 主な書類 注意点
申請書本体 一般貨物自動車運送事業経営許可申請書 様式が定まっているので、国交省の様式を使う
事業計画 事業計画書(車両・施設等) 営業所・車庫・休憩施設を別紙で詳細記載
資金 残高証明書・貸借対照表等 申請時と許可前の2回、提出が必要
施設関係 賃貸借契約書・建物謄本・配置図・幅員証明書 市街化調整区域の場合は別途開発許可が必要なケースあり
人員関係 運行管理者・整備管理者の資格証明、履歴書等 申請時に確保「予定」でも可だが、開始前までに確保必須
車両関係 車検証の写し・リース契約書等 リース車両は許可要件を満たす使用権原が必要。契約内容は事前に確認を
法人書類 登記事項証明書・定款・役員名簿 発行から3ヶ月以内のものを用意
⚠️ 「幅員証明書」は忘れやすいので早めに取得を
車庫前面道路は、使用する車両が安全に通行できる幅員等の基準を満たす必要があります。具体的な要件は使用車両の種別や道路状況によっても異なるため、管轄運輸支局へ事前に確認しましょう。幅員証明書は道路管理者(都道府県や市区町村)の窓口で取得しますが、1〜2週間かかる場合があります。国道は不要。

よくある補正事例

書類を窓口に持っていっても、補正を求められるケースがあります。申請受理の段階で指摘を受けるケースと、審査中に補正指示が来るケースの2パターンがあります。

①車庫の前面道路が要件を満たしていない

車庫の出入口前の道路幅が車両制限令の基準に満たない場合、そもそも車庫として認められません。「6m道路だから大丈夫」と思っていたら、実際の有効車道幅員(路上駐車・側溝を除いた幅)が足りなかった、というケースがあります。

②自己資金の金額が不足・証明のタイミングがずれている

残高証明書は「申請日時点」の金額で確認されます。複数の口座がある場合は全口座分が必要で、証明日を合わせる必要があります。口座を分散させている事業者は特に注意が必要です。

③都市計画法・建築基準法に抵触している施設

営業所・車庫が市街化調整区域にある場合や、用途地域の制限に引っかかる場合は、そもそも許可要件を満たせません。事前に自治体の確認を取っておくことが必要です。

④賃貸借契約書に「自動更新条項」がない

賃貸で営業所や車庫を確保する場合、「自動更新」が明記されていない契約書は使用権限の証明として不十分とみなされることがあります。契約書の内容を事前に確認しておくべきです。

📋 現場28年から一言

水道工事、古紙回収、危険物輸送と、28年間現場で働いてきました。その間ずっと、緑ナンバーのトラックのそばにいました。

現場にいる間は「許可」のことなど考えたこともありませんでした。行政書士になって初めて、あの緑ナンバーの裏にどれだけの手続きがあるか分かりました。書類を書くことより、事前確認の方に時間がかかる。それが運送業許可の実情です。

法令試験について

申請書が受理されると、管轄の運輸局から「法令試験」の通知が届きます。これは運行管理者試験とは別の試験で、役員(法人の場合)または事業主(個人の場合)が受験します。

項目 内容
試験時間 50分
問題数・合格基準 30問中24問以上正解で合格(正答率80%)
出題範囲 貨物自動車運送事業法、道路交通法、労働基準法、下請代金支払遅延等防止法 等
再受験 1回失敗しても2回目の受験が可能(別の常勤役員でも可)

持ち込み可能な資料や試験方法は、実施時期や管轄運輸局によって異なる場合があります。受験前に必ず管轄の運輸支局へ確認しておきましょう。

許可後にやること

許可通知書が届いても、すぐに営業できるわけではありません。いくつかの手続きを済ませてはじめて運送業がスタートします。

  • 登録免許税12万円の納付
  • 運行管理者・整備管理者の選任届出(選任日から15日以内)
  • 社会保険・労働保険への加入確認
  • 車両の緑ナンバーへの変更
  • 運輸開始届の提出(運輸支局へ)
  • 運賃料金の設定届出(設定後30日以内)

このあたりも手順を踏まないと「許可は取れたけど動けない」という状態になります。許可取得がゴールではなく、ここからが本当のスタートです。

まとめ

運輸局への申請は、書類の数・手順の複雑さ・要件の細かさ、どれをとっても初めての方にはハードルが高いのが実情です。ざっくりポイントをまとめると、こうなります。

  • 申請から許可まで3〜5ヶ月かかる(書類不備でさらに延びる)
  • 車庫前面道路の幅員と自己資金の証明は特に補正が多い
  • 法令試験は申請後に管轄運輸局から通知が来る(受験忘れは致命的)
  • 許可取得後も、選任届出・緑ナンバー変更・運輸開始届などが続く

許可を取ることより、許可を維持する方が難しい。現場で28年間働いてきたからこそ、そう思います。

巡回指導、監査、ドライバーの労務管理、標準運賃の遵守。許可の後も、やるべきことは続きます。

「もっと早く相談すれば良かった。」開業後に、そう話す社長を何人か見てきました。許可は最初の準備で結果が変わります。

運送業許可は、一度取れば終わりではありません。むしろ、そこからが本当のスタートです。28年間現場を見てきて、一番そう感じています。

よくある質問

Q. 自分で申請できますか?

できます。ただし書類の種類が多く、施設要件や資金要件の事前確認に時間がかかります。初めて一人で進めると、補正のやり取りで数ヶ月余分にかかるケースがあります。

Q. 法令試験は難しいですか?

30問中24問正解で合格です。条文をしっかり読んで対策すれば合格できる内容ですが、ノー対策で臨むのはリスクがあります。詳しくは役員法令試験の対策記事をご覧ください。

Q. 申請から営業開始まで何ヶ月かかりますか?

書類に不備がなければ、申請受理から許可まで概ね3〜5ヶ月が目安です。許可後も緑ナンバーへの切替えや運輸開始届など手続きが続くため、事業開始を急ぐ方は早めに動いた方がいいです。

運送業許可の申請について、
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