TRANSPORT LICENSE GUIDE
貨物自動車運送事業法とは?
運送業許可が必要な3つの区分と
最新改正を行政書士が解説
横山輝明 / 行政書士あおばと合同事務所
横山輝明です。
「運送業を始めたいけど、許可ってどこに申請するの?」「軽貨物は届出だけでいいって聞いたけど、本当に?」——そういった疑問、結構多くいただきます。
貨物自動車運送事業法、正直ちゃんと読んだことある人ってそんなに多くないと思うんです。でも、この法律を知らずに事業を始めると、無許可で事業を行うことになり、行政処分や刑事罰の対象となる可能性があります。
水道工事・古紙回収・危険物輸送と、現場を28年渡り歩いた私が、「法律っぽくない言葉」で解説します。
📋 この記事の目次
① 貨物自動車運送事業法とは何か
一言で言うと、「トラックなどで他人の荷物を運んでお金をもらう仕事のルールブック」です。
1989年(平成元年)に制定、1990年(平成2年)施行。バブル全盛期に生まれた法律で、物流業界の健全な発展と輸送の安全確保が目的です。
対象になるのは、宅配便・引越し業者・企業向け配送・軽貨物配送など、「他人の荷物を有償で運ぶ事業者すべて」です。
🔑 ポイント
反復継続して他人の荷物を有償で運ぶ事業は、貨物自動車運送事業法の対象になります。友人の引越しを無料で手伝うのはOK。ただし、営利性や事業性を伴って有償で運送する場合は、この法律の対象となる可能性があります。
② 3つの区分と許可・届出の違い
貨物自動車運送事業法では、事業を3つに分類しています。どれに該当するかによって、手続きが変わります。
🟢 一般貨物自動車運送事業
不特定多数の荷主から依頼を受けて運送する事業。宅配便・路線便・引越し業者など、いわゆる「普通の運送会社」はほぼここに入ります。
手続き:国土交通大臣または地方運輸局長の「許可」が必要。届出ではなく許可なので、審査があります。許可の要件や手順は一般貨物自動車運送事業許可 完全ガイドで詳しく解説しています。
🟡 特定貨物自動車運送事業
特定の荷主1社(または限られた荷主)の貨物だけを運送する事業。メーカー専属配送や工場間輸送が代表例です。
手続き:こちらも「許可」が必要。一般貨物と同じ手続きで、荷主が限定されているだけです。
🔵 貨物軽自動車運送事業
軽トラック・軽バン・二輪車などを使った運送事業。宅配の個人ドライバーやフードデリバリーがここです。
手続き:許可ではなく「届出」で事業を始められます。参入しやすい一方、安全管理や事故防止に関する義務は法律で定められており、許可事業者と同様に遵守が求められます。届出の手順や注意点は軽貨物運送業の届出ガイドで詳しく解説しています。
| 区分 | 荷主 | 車両 | 手続き |
|---|---|---|---|
| 一般貨物 | 不特定多数 | 普通・小型トラック | 許可 |
| 特定貨物 | 特定1社 | 普通・小型トラック | 許可 |
| 貨物軽自動車 | 不特定多数 | 軽自動車・二輪 | 届出 |
🔧 現場28年チェックポイント
現場経験の中で、届出をしていないまま営業しているケースを見かけたことがあります。巡回指導などで指摘を受ける可能性がありますし、無届出のまま発覚した場合は処分の対象になります。届出は手続きが簡単なんだから、最初から済ませておく方が絶対いいです。
③ 事業者が守らないといけない義務
許可を取ったら終わりではありません。日常的に守らないといけない義務があります。主なものを4つ。
① 運行管理体制の整備
営業所ごとに運行管理者を選任する義務。一定の要件を満たす小規模な営業所については、選任義務の例外が認められる場合があります(地方運輸局長の認定が必要)。
② 点呼・点検の実施
乗務前後の点呼でアルコール・疲労・健康状態を確認。アルコール検知器の備え付けと点呼記録の1年間保存が義務です。
③ 過積載・過労運転の防止
重量オーバーでブレーキが効かなくなる事故、居眠り運転——どちらも命に関わります。休憩・休息時間の管理は経営者の責任です。
④ ドライバーへの安全教育
年1回・12項目の一般指導が必須。教育記録は3年間保存義務あり。新入社員・事故歴ありのドライバーには特別指導が加わります。
④ 2025年改正で何が変わったか
「物流の2024年問題」への対応で、法改正が続いています。改正法は2024年5月15日公布・主要部分は2025年4月1日施行です。
改正の柱は「多重下請構造の是正」「取引の透明化」「安全管理体制の強化」の3点。運送事業者だけでなく、荷主側にも新しい義務が生まれました。
| 改正内容 | 対象 | 施行 |
|---|---|---|
| 運送契約時の書面交付義務 | 荷主・トラック事業者 | 2025年4月〜 |
| 実運送体制管理簿の作成・保存 | 元請事業者 | 2025年4月〜 |
| 貨物軽自動車安全管理者の選任 | 軽貨物事業者 | 2025年4月〜 |
| 書面交付義務の対象拡大 | 貨物利用運送事業者も | 2026年4月〜 |
💡 特に軽貨物事業者は注意
「届出だけでいい業態だから気楽」と思ってたら、2025年4月から安全管理者の選任義務が加わりました。既存事業者には経過措置がありますが、早めに対応しておくのが無難です。
⑤ 違反したらどうなるか
法令違反をすると、国土交通省から行政処分が来ます。軽いものから順に「車両の使用停止」「事業停止」「許可取消」。許可取消処分を受けると、原則としてその事業を継続できなくなります。「下請けだから許可は不要」と思っている方も要注意で、下請けでも運送業許可は必要?無許可営業のリスクも参照してください。
さらに悪質な場合は、拘禁刑や罰金の刑事罰も。そして処分内容は公表されるので、荷主からの信用が一気に落ちます。
違反点数制度があって、点数は原則3年間累積します。ちょっとした違反が積み重なって、ある日突然「使用停止」というパターンが一番怖い。
🔧 現場28年チェックポイント
危険物輸送7年の経験から言うと、法律は「知らなかった」では守ってくれません。違反が出るのは大体、「多分大丈夫やろ」という慣れの積み重ねです。点呼記録・アルコール検知・教育記録——面倒でも毎日やる習慣が、会社を守ります。
⑥ まとめ:許可申請は早めに動くが吉
貨物自動車運送事業法、難しそうに見えて、要点は3つです。
📌 この記事の3ポイント
- 一般・特定は「許可」、軽貨物は「届出」——手続きの種類が違う
- 許可を取っても点呼・教育・記録保存など日常義務がある
- 2025年改正で軽貨物を含む事業者に新たな義務が加わった
一般貨物の許可申請は、要件整理から書類作成・運輸局との折衝まで、やることが多い。「自分でやってみたけど何度も差し戻された」という話も聞きます。
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