Gマークを取得した運送会社が、荷主からの問い合わせが増えた。そんな話を耳にすることがあります。
Gマーク(安全性優良事業所)は、取得するだけで終わりではなく、取得後に現場がどう変わるかが本質です。
この記事では、Gマークを取ると何が変わるか、神奈川での申請の流れ・審査基準・費用・期間まで、運送業許可に特化した行政書士が解説します。
⚠️ Gマークの審査基準・申請手続きは変更されることがあります。本記事は2026年時点の情報をもとにしており、最新情報は公益社団法人全日本トラック協会または神奈川県トラック協会にご確認ください。
Gマークを取ると荷主の反応が変わる
Gマーク取得後に実感しやすい変化は、主に以下の3点です。
| 変化の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 荷主との関係 | 一部の荷主では、「Gマーク取得事業者であること」を選定条件の一つとしているケースがあります。大手荷主・メーカー系を中心に、安全性への取り組みを重視する傾向があります。 |
| 保険料 | 一部の保険会社では、Gマーク取得事業者向けの保険料割引制度を設けている場合があります。適用条件・割引内容は保険会社や契約内容によって異なります。 |
| 採用・社内 | 企業の安全性への取り組みを対外的に示せるため、採用活動等でプラスに働く場合があります。 |
取得自体が目的ではなく、取得後の現場変化が目的です。荷主からの信頼を形として示せることが、Gマークの最大の価値です。
Gマークとは何か(審査の仕組み)
Gマーク(安全性優良事業所)は、公益社団法人全日本トラック協会が実施する認定制度です。一般貨物自動車運送事業者を対象に、安全性への取り組みを評価します。
審査は年1回実施されます。申請から認定まで、概ね数ヶ月かかります。
認定された事業所には、Gマークのステッカーが交付されます。車両への貼付・名刺・ウェブサイト等での使用が可能です。
神奈川で申請する場合の流れ
神奈川での申請窓口は神奈川県トラック協会です。
- 申請資格の確認:運輸開始届を提出してから1年以上経過していること、原則5両以上の事業用自動車を配置していること、過去1年間に行政処分を受けていないこと等が条件となります(※他にも要件があります)。申請資格・評価基準は年度により変更される場合があります。詳細は最新の募集要項をご確認ください。
- 申請書類の準備:申請書・安全性に関する取り組みの実績資料等を準備します。
- 申請受付期間に申請:申請受付は年1回・期間が定められています。期間外の申請は受け付けられません。
- 書類審査・実地審査:提出書類の審査と、必要に応じた実地確認が行われます。
- 認定・ステッカー交付:審査通過後、認定証とGマークステッカーが交付されます。
申請受付期間は毎年決まっています。期間を逃すと翌年まで申請できないため、スケジュールの把握が重要です。
審査基準の実際(点数のつけ方)
Gマークの審査は、以下の3分野・合計100点満点で評価されます。各分野に基準点数が設けられており、すべての基準点数をクリアすることが認定の条件です。
| 審査分野 | 配点 | 基準点数 | 主な評価内容 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ.安全性に対する法令の遵守状況 | 40点 | 32点以上 | 点呼・運転日報・運行管理・車両点検・健康診断・就業規則・36協定等 |
| Ⅱ.事故や違反の状況 | 40点 | 21点以上 | 過去3年間の重大事故の有無・行政処分の累積点数 |
| Ⅲ.安全性に対する取組の積極性 | 20点 | 12点以上 | 運転者研修・安全対策会議・適性診断・時間外労働短縮等の自主的取り組み |
※配点・基準点数は2026年度(令和8年度)募集要項時点の情報です。年度により変更される場合があります。
Ⅰ:法令遵守(40点)の主なチェック項目
巡回指導の結果が直接反映されます。巡回指導で「適」と判定された項目が加点されます。特に配点が高い項目は以下です。
- 点呼の実施・記録・保存(3点)
- 過労防止を配慮した勤務・乗務時間の管理(3点)
- 過積載による運送を行っていないか(3点)
- 乗務員への指導監督(3点)
- 定期点検の実施・記録保存(3点)
- 健康診断の実施・記録保存(3点)
※巡回指導後に改善しても、当該年度の審査では加点されません。日頃からの整備が前提です。
Ⅱ:事故・違反(40点)の評価基準
- 過去3年間の重大事故(自動車事故報告規則第2条各号に定める事故)の有無等により評価されます(詳細は募集要項参照)
- 行政処分の累積点数が0点なら20点。点数がある場合は(20点-累積点数)で算出
Ⅲ:取組の積極性(20点)の主な選択項目
グループ1〜4から項目を選択して自認します。主な項目は以下です。
- 運転者への社内研修・外部研修(各3点)
- 運転記録証明書による事故・違反把握と指導(3点)
- 安全対策会議の定期実施(2点)
- 健康起因事故防止対策(SAS・脳検査等)(2点)
- 安全装置の装着(ドラレコ・衝突軽減ブレーキ等)(2点)
- ドライバー時間外労働時間短縮の取り組み(2点)※令和8年度募集要項上では評価基準変更あり・後述
重要なのは、巡回指導の評価が審査に影響する点です。巡回指導の評価内容によっては、Gマークの審査に影響する可能性があります。Gマーク取得を目指す場合は、巡回指導対策と並行して進めることが合理的です。
【2026年度変更点】ドライバー時間外労働時間の評価基準が変わります
令和8年度(2026年度)のGマーク申請から、評価項目Ⅲ「安全性に対する取組の積極性」のうち、ドライバー時間外労働時間短縮の取組について評価基準が変更されました。
従来は「年間960時間を下回ること」が評価対象でしたが、令和8年度募集要項では、さらなる時間短縮への取り組みが評価対象とされています。
| 判断基準 | 内容 | 配点 |
|---|---|---|
| ①880時間以下 | 2026年7月1日現在有効な36協定届にて、1年の時間外労働時間数が880時間以下であること | 2点 |
| ②前回届出より短縮 | 2026年7月1日現在有効な36協定届にて、1年の時間外労働時間数が前回届出の時間数を下回っていること | 1点 |
※この変更は令和8年度(2026年度)限りの措置です。翌年度以降の基準は最新の募集要項をご確認ください。
取得にかかる費用と期間
申請にかかる主な費用:
- 申請手数料:トラック協会への申請手数料(金額は協会に確認ください)
- 行政書士等への相談・サポート費用:書類準備・申請サポートを依頼する場合は別途
- 社内の書類整備コスト:書類体制が整っていない場合、整備にかかる時間・コスト
申請から認定まで、概ね数ヶ月程度かかります。申請受付期間・審査期間を合わせると、取得を決めてから実際に認定されるまで半年以上かかるケースもあります。
「今すぐ取りたい」と思っても、申請受付期間が終わっていれば翌年になります。早めに準備を始めることが重要です。
Gマーク取得後に必要なこと(更新)
Gマークの認定の有効期間は2〜4年(新規取得時は2年、更新時は実績により3年・4年になる場合があります)で、定期的な更新が必要です。更新時には継続的な安全管理体制が確認されます。詳細は最新の募集要項をご確認ください。
更新を維持するためには、取得後も継続して書類体制・安全管理を維持することが必要です。「取れたから終わり」ではなく、継続的な取り組みが求められます。
更新のタイミングで書類体制を見直すきっかけにしている会社もあります。定期的な確認の機会として活用することをおすすめします。
📋 現場28年からのチェックポイント
- Gマーク申請には「運輸開始届から1年以上・原則5両以上・行政処分なし」が前提。許可取得直後から書類体制を整える
- 申請受付は年1回・期間限定。スケジュールを早めに確認する
- 巡回指導の評価がGマーク審査に影響する。巡回指導対策とセットで進める
- 点呼記録・運転日報・安全教育記録はGマーク審査でも確認される。日頃からの整備が直結する
- 認定の有効期間は2〜4年(新規は2年・更新時は実績により延長あり)。取得後も継続的な書類管理・安全管理が必要
- 一部の荷主では「Gマーク取得事業者か」を選定条件にするケースがある。早めの取得が競争優位につながる
📎 参考・根拠情報(公式)
まとめ
Gマーク取得のポイントを整理すると:
- 取得後は荷主の反応・保険料・採用に変化が出るケースがある
- 申請には「許可取得から1年以上・行政処分なし」が前提
- 申請受付は年1回。スケジュール管理が重要
- 巡回指導対策と書類整備はGマーク審査に直結する
- 認定の有効期間は2〜4年(新規は2年)で定期的な更新が必要
Gマーク取得は、書類体制を整えた結果として自然についてくるものです。「まず書類を整える→巡回指導で評価を上げる→Gマーク申請」という順番で進めることが、最も効率的です。
「うちはGマークを取れる状態か確認したい」「何から手をつければいいかわからない」という方は、以下からお気軽にご相談ください。
※Gマークの審査基準・申請手続きは変更されることがあります。個別事情により審査結果は異なります。詳細は神奈川県トラック協会・全日本トラック協会にご確認ください。
※本記事は一般的な制度解説であり、個別事案について法的助言を行うものではありません。
※本記事の内容は2026年時点の情報をもとにしています。
