横山輝明です。
関東運輸局が2026年6月17日に発表した「2025年度 貨物自動車運送事業の行政処分等の概要」を見ると、運送業の許可を守るために気をつけたいポイントがいくつも見えてきます。物流は経済の根幹を支える血液のような存在です。今日はこのデータをもとに、運送業に28年関わってきた立場から、わかりやすく解説していきます。
2025年度の監査・処分の実績
関東運輸局のエリアでは、2025年度に監査が408件行われました。前の年より8.1%減っていますが、行政処分の件数は207件で、前の年とほぼ同じ数字です。
処分の内容を見ると、次のようになっています。
- 許可の取消し:1件(前年はゼロ)
- 事業停止:9件(25.0%減)
- 車両使用停止:165件(2.9%減)
- 文書警告:32件(28.0%増)
- 過積載通報処分:8件(33.3%増)
注目したいのは、一般貨物自動車運送事業の許可取消処分が1件あったことと、「文書警告」「過積載通報処分」が増えていることです。
出典:関東運輸局「貨物自動車運送事業の行政処分等の概要(令和7年度)」(2026年6月17日公表)
公式ページはこちらです。関東運輸局「貨物自動車運送事業の行政処分等の概要(令和7年度)」
どんな違反が多いのか
違反の内容は大きく2つに分けられます。「許認可(事業計画)等関係」と「輸送の安全確保関係」です。
資料では、許認可関係でいちばん多いのは「事業計画認可事項」で83件となっています。次に「報告義務」が44件、「事業計画届出事項」が40件と続きます。
資料では、輸送の安全確保関係では「指導監督」が418件で最多となっています。次に「点呼」259件、「過労防止等」256件です。
📋 現場経験28年のチェックポイント
危険物輸送の現場で7年間、その後も含めて運送業界に28年間携わってきました。今回のデータでいちばん多かった「指導監督」「点呼」「過労防止等」は、どれも日々の積み重ねがそのまま結果に出る部分です。点呼を抜かしたり、運転者への指導記録を残し忘れたりすると、ある日まとめて指摘されることがよくあります。毎日の記録を丁寧に残すこと、それだけで防げる違反がとても多いと感じています。
監査が入るきっかけ
監査の選定理由を見ると、いちばん多いのは「フォローアップ」で169件。過去に指導を受けた事業者を、再度確認する監査です。次に「苦情・法令違反の疑義等」73件、「適正化実施機関」60件、「第1当事者としての重大事故」40件と続きます。
つまり、過去に一度でも指導を受けたことがある事業者は、その後も継続してチェックされる可能性が高いということです。一度の指摘を「今回は乗り切った」で終わらせず、構造的に直しておくことが、長く事業を続けるための分かれ道になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 行政処分を受けると、すぐに許可が取り消されますか?
A. いいえ、すぐに取消しになるケースはまれです。多くは「文書警告」や「車両使用停止」といった段階を踏みます。ただし違反を放置すると処分が重くなっていく傾向があります。
Q. 点呼や指導監督の記録はどう残せばいいですか?
A. 国土交通省が定める記載項目を満たした記録簿を使い、毎回必ず記入することが基本です。記録の保存期間や項目に不安がある場合は、行政書士など専門家へ相談することも有効です。
🕊 運送業界への想い
物流が止まれば、経済が止まります。誇り高い仕事であるにもかかわらず、長時間労働・低賃金・人手不足・下請けの多重構造といった課題が今も残っています。今回のような行政処分のデータも、「取られて困る」だけの話ではなく、ドライバーの働く環境や事業の体力を守るための仕組みだと私は捉えています。
経営者の方には、点呼・労働時間・給料などコンプライアンスの遵守を強くお願いしたいです。守ることは、結果としてドライバーの地位を守ることにもつながります。私自身、運送業に28年関わってきた者として、この業界をこれからも守っていきたいと思っています。

