運送業の許可および認可とは?必要になるケースや免許取得までの流れを行政書士が解説

運送業の許可および認可とは?必要になるケースや免許取得までの流れを行政書士が解説

行政書士あおばと合同事務所 代表行政書士 横山輝明

横山 輝明 行政書士あおばと合同事務所 代表

現場経験28年|運送業許可・巡回指導対策

神奈川県大磯町在住・東京都中野区事務所|首都圏即対応・ 全国対応可

行政書士あおばと合同事務所 公式サイトを見る

行政書士の横山輝明です。

「運送業を始めたいけれど、許可と認可って何が違うの?」という質問をよく受けます。

ネットで調べると「許可を取れ」と書いてあったり「認可が必要」と書いてあったりして、どっちが正しいのかわからなくなる。そういう状況です。

最初にこの違いを知っておくと、その後の手続きがどこから準備すればいいかが見えてきます。

私も28年間、運送や建設の現場で仕事をしてきました。行政書士になった今でも、「もっと早く知っていれば」と思う場面をよく見ます。この記事では、許可と認可の違いを起点に、開業までの流れを整理してお伝えします。

許可 認可・届出など
タイミング 開業前 開業後の変更時
目的 新たに事業を始める 一部内容を変更する
手続きの種類 一般貨物自動車
運送事業許可
変更認可・届出・
変更許可など
申請先 管轄の運輸支局 管轄の運輸支局

運送業の種類は3つに分かれる

まず前提として、運送業には種類があります。大きく分けると次の3つです。

① 一般貨物自動車運送事業

事業用の車両を使って不特定多数の荷主から荷物を預かり、有償で運ぶ事業です。「運送業」と聞いてイメージするものの大半はこれに当たります。

② 特定貨物自動車運送事業

荷主が1社に限定される点が一般貨物と違います。専属の配送先がすでに決まっているケースで使われます。

③ 貨物軽自動車運送事業

軽自動車や排気量125CC以上の自動二輪車を使って荷物を運ぶ事業です。宅配便の個人配送などが典型例です。

軽自動車で有償運送を行う場合は、一般貨物自動車運送事業とは別に、貨物軽自動車運送事業の届出制度が適用されます。事業に使う車両の種類によって適用される区分が変わるため、最初に確認しておく必要があります。

運送業「許可」と「認可」の違い

許可とは、法律で原則として禁止されている行為を、申請によって特定の人に解除するものです。一般貨物自動車運送事業は、この許可がなければ始められません。正式名称は「一般貨物自動車運送事業許可」で、申請先は営業所の所在を管轄する運輸支局、許可を出すのは国土交通大臣または地方運輸局長です。

認可とは、許可取得後に一定の事項を変更する際に必要となる手続きです。ただし、変更内容によっては認可ではなく「届出」で済む場合や、別途許可が必要になる場合もあります。

開業前は許可が必要です。開業後は変更内容に応じて認可・届出・変更許可などの手続きが必要になります。どの手続きに当たるかは変更の内容によって異なるため、事前の確認が欠かせません。

運送業許可が必要になるケース

他人の荷物を、運賃をもらって事業用自動車で運ぶ場合は、原則として運送業許可が必要です。具体的には以下のようなケースが該当します。

  • 建設資材や販売用製品を指定場所まで輸送する
  • 引越しの荷物を運ぶ
  • 積載車を使って自動車を移動させる

これらを無許可で行った場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金という処分の対象になります。「知らなかった」では通らない世界です。

私も28年間現場で働く中で、制度を十分知らないまま仕事をしているケースを見聞きしてきました。当時は問題にならなくても、ある日突然指摘される。そういうリスクを抱えたまま事業を続けることになります。

許可が不要な4つのケース

一方で、貨物を運んでも許可が不要なケースがあります。

許可不要の4ケース

① 自社の荷物を運ぶ場合

法律上、荷主から依頼を受けて運ぶ行為が運送業に該当するため、自社の荷物は対象外です。ただし、グループ会社の荷物を運んで運賃を受け取ると、運送業とみなされます。

② 運賃を受け取らない場合

無償であれば許可は不要です。ただし、名称だけを変えて実質的に運賃を受け取っている場合は、無許可営業と判断される可能性があります。形式だけ整えても意味はありません。

③ 軽自動車を使う場合

一般貨物自動車運送事業の許可ではなく、貨物軽自動車運送事業の届出が必要です。

④ 自動二輪(バイク)を使う場合

同じく貨物軽自動車運送事業の届出が必要です。排気量125CC未満のバイクであれば、届出すら不要です。

許可取得に必要な5つの条件

① 資金の確保

開業資金と当面の運転資金を、金融機関の残高証明書で証明します。目安となる金額の内訳は以下の通りです。

  • 役員報酬 6ヶ月分
  • 従業員給与 6ヶ月分
  • 車両の修繕費・燃料費 6ヶ月分
  • 事務所・駐車場の賃料 12ヶ月分(賃貸の場合)

「資金があれば許可が取れる」という単純な話ではなく、この残高を申請のタイミングで証明できることが条件になります。

② 人員の確保

営業用車両5台以上を運行できる体制が必要です。運行管理者を選任し、運行に必要な運転者を確保しなければなりません。運行管理者は運行管理業務を適切に行える体制を整える必要があります。

③ 資格の取得

輸送の安全を確保するために、運行管理者資格を持つ人材が必要です。この資格がない状態で事業を開始すると、行政処分の対象となるおそれがあります。また、整備管理者の選任も必要で、一定の資格や実務経験などの要件があります。詳細は管轄の運輸支局にご確認ください。

④ 事務所・駐車場の要件

事務所は駐車場から10km以内であること、市街化調整区域でないこと、建築基準法や消防法などの関係法令に違反していないことが求められます。駐車場については、法令や審査基準に適合することが必要で、交差点や横断歩道との距離などについても基準があります。条件の詳細は地域によって異なるため、管轄の運輸支局への確認が欠かせません。

⑤ 車両の要件

緑ナンバーとして登録する車両を最低5台確保すること、車検証上の所有者(またはリース・ローンの場合は使用者)が申請者であることが求められます。また、適切な任意保険への加入も重要です。

✅ 現場経験28年チェックポイント

「条件を全部まとめてから動こう」と考えると、思いのほか時間がかかります。資金・人員・車両・場所、どれが現状で整っていて、どこが足りないのかを早めに整理することが、スムーズな開業への近道です。

許可取得から営業開始までの流れ

条件をすべて整えたあと、申請から営業開始まで次のような流れになります。

1

申請書類の提出

管轄の運輸支局に書類を提出します。書類の種類は多岐にわたるため、不備があると補正を求められます。

2

法令試験の受験

申請後、役員が法令試験を受験します。試験に合格しないと許可は下りません。

3

許可証の交付

試験をクリアし、補正対応が完了すれば、運輸支局から許可の連絡が入ります。

4

各種保険加入・36協定の締結

健康保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険への加入と、時間外労働に関する36協定の締結が必要です。

5

緑ナンバーへの切り替え・運輸開始届の提出

車両を事業用ナンバーに変更し、運輸開始届を提出してはじめて営業を開始できます。

許可を取ってから営業開始まで、やるべきことは意外と多い。許可が下りた時点で終わりではなく、そこからが本番だと思っておくとよいです。

また、開業後に営業所や車庫の移転、役員変更、車両の増減などが生じた場合は、変更の内容に応じて認可申請・届出・変更許可などの手続きが必要です。手続きを怠ると罰則の対象になることがあるため、変更が生じたら早めに確認することをおすすめします。

まとめ

運送業の許可と認可は別物です。開業に必要なのは「許可」、許可取得後の変更に必要なのが「認可・届出・変更許可」という整理を知っておくと、どこから準備すればいいかが見えてきます。

許可の取得には資金・人員・資格・場所・車両という5つの条件があり、どれか一つでも欠けると申請が通りません。「何から手をつければいいかわからない」という場合は、まず現状の確認から始めましょう。

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