横山輝明です。
運送業の許可が出た。よし、これで緑ナンバーだ。……と思ったら、そこからがけっこうある。
許可書を受け取ってから実際にトラックで仕事を始めるまで、やることが6〜7個並んでいます。しかも順番を間違えると、また窓口に呼ばれます。「許可が出たらすぐ走れる」は、残念ながら幻想です。
このページでは、緑ナンバー取得後にやるべき手続きを順番に全部まとめました。水道工事13年・古紙回収8年・危険物輸送7年、計28年の現場経験を持つ行政書士として、書類の話だけじゃなく「現場でこういう失敗が起きる」という話も混ぜています。
📋 このページの目次
目次
許可から走り出すまでの全体像
まず全体を頭に入れてください。許可が出てから営業を開始するまで、やることはこの順番です。
- 登録免許税12万円を納付する
- 運行管理者・整備管理者の選任届を出す
- ドライバー全員を社会保険・労働保険に加入させる
- 運輸開始前確認報告を提出する
- 事業用自動車等連絡書をもらって緑ナンバーに変更する
- 運輸開始届・運賃料金設定届を提出する(走り出したら遅滞なく)
社会保険の手続きが特に時間を食います。許可が出てから動き始めると、加入完了まで2〜3週間かかって走り出しが遅れます。一般的には許可から緑ナンバーまで2〜4週間程度が目安ですが、社会保険手続きや提出書類の状況によって前後します。
仕事の開始日が決まっているなら、そこから逆算して動くしかありません。早めに準備を始めるのが全てです。
① 登録免許税12万円を納付する
許可書と一緒に「登録免許税納付書」が渡されます。12万円を金融機関で払って、領収書を運輸支局に持参します(出典:e-Gov法令検索・登録免許税法別表第一)。
銀行でも郵便局でも払えます。ただし領収書の原本が必要です。コピーは不可。なくすと再発行できないので、その場で鞄に入れてください。ポケットに突っ込んで洗濯、という方が実際にいました。
② 運行管理者・整備管理者の選任届
申請段階では「確保する予定」だった運行管理者と整備管理者を、正式に選任届として運輸支局に届け出ます。書類を出して初めて「選任した」ことになります。
一般的に提出する書類
- 運行管理者選任届出書(資格者証のコピー添付)
- 整備管理者選任届出書(整備士資格証または実務経験証明書のコピー添付)
※書式・提出先は管轄の運輸支局で確認してください。
運行管理者の資格者証を紛失している方、わりといます。試験に合格しているだけでは証明になりません。再交付の手続きに時間がかかるので、早めに確認しておいてください。
③ 社会保険・労働保険の加入(これが一番時間かかる)
ここが最大のボトルネックです。ドライバー全員が社会保険(健康保険・厚生年金)と労働保険(労災・雇用保険)に加入済みでないと、次の運輸開始前確認報告に進めません(出典:関東運輸局公示基準)。
「あとでまとめてやろう」は通りません。加入が完了していないと確認報告を受け付けてもらえないからです。許可申請の段階から社会保険労務士と並行して動いておくのが、一番確実な段取りです。
⚠ 社会保険・労働保険の加入状況は運輸開始前確認で確認されます
加入状況によっては運輸開始前確認が完了せず、営業開始できません。また、営業開始後も関係法令に基づく確認や指導の対象となる場合があります。走り出す前に必ず完了させてください。
④ 運輸開始前確認報告
緑ナンバーに変える前に、「走れる状態が整いました」という報告書を運輸支局に提出します。この報告が受理されてはじめて、次の連絡書がもらえます。
確認報告を出すために揃っていないといけないもの
- 運行管理者・整備管理者の選任届が受理されていること
- ドライバー全員の社会保険・労働保険加入が完了していること
- 営業所・車庫が実際に使える状態であること
- 車両が確保されていること(リース契約・売買契約など)
一個でも欠けていると受け付けてもらえません。「全部そろったつもり」が一番危ない。チェックリストを作って一個ずつ確認してから窓口に行くのが確実です。
⑤ 緑ナンバーへの変更
確認報告が受理されたら事業用自動車等連絡書が発行されます。この書類を持って自動車検査登録事務所へ行き、車検証の書き換えと緑ナンバーへの変更をします。
運輸支局と自動車検査登録事務所の2か所をはしごする形です。場所が離れている地域もあります。1日でまとめてやるつもりなら午前中に動き始めてください。午後から動くと時間が足りなくなります。これは経験則です。
緑ナンバー変更に必要な書類(一般的な例)
- 事業用自動車等連絡書(運輸支局で発行)
- 車検証(原本)
- 自動車税申告書
- 手数料納付書
- ナンバープレート(白ナンバーを返納)
※必要書類は自動車検査登録事務所によって異なる場合があります。事前に確認を。
リース車の場合、所有者はリース会社です。変更手続きにリース会社の委任状が必要なケースがあります。当日になって「委任状がない」と気づくと詰みます。リース会社には事前に確認しておいてください。
⑥ 運輸開始届・運賃料金設定届の提出
緑ナンバーに変えて実際に運送を始めたら、遅滞なく運輸支局に2つ出します。
提出する書類
- 運輸開始届:「この日から運送を始めました」という届出
- 運賃料金設定届:どんな運賃体系で運送するかの届出
「遅滞なく」は走り始めたらすぐ出してください、という意味です。忘れていると後で指摘されます。
運賃料金は国土交通省が告示している標準的運賃を参考にして設定しておくのをすすめます(出典:国土交通省・標準的な運賃について)。「適当でいいや」で低い運賃を届け出てしまうと、あとで荷主と交渉するときに自分の首を絞めます。最初から標準的運賃ベースで出しておいてください。
現場経験28年チェックポイント
現場を走っていた頃、緑ナンバーに変わった直後の会社がどれだけ慌てているかを何度か見てきました。許可を取るまでの苦労と、取ったあとのドタバタは、種類が違う。そのときの記憶から書いておきます。
- 社会保険の手続きは許可申請中から並行して動かす。許可が出てから慌てると走り出しが2〜3週間遅れます。社労士に早めに声をかけておくのが一番です。
- 緑ナンバーに変える日を先に決めて逆算する。「○月○日から仕事が入っている」なら、そこから逆算して確認報告の提出日を決める。書類が間に合わなくて仕事を断るのは最悪のシナリオです。
- リース会社への確認は早めに。当日になって委任状が必要と分かり、取り寄せに数日かかる、という事態を何度も聞きました。
- 運賃料金設定届は標準的運賃を参考に作る。低い運賃で届け出てしまうと、荷主との値上げ交渉の場面で根拠が使えなくなります。最初に正しく設定しておくことが将来の経営を守ります。
よくある質問
Q. 許可が出てから緑ナンバーになるまでどのくらいかかりますか?
A. 社会保険の手続きが完了するまでの時間次第です。スムーズに進んでも2〜4週間が目安です。社労士と並行して動いていれば短縮できます。
Q. 緑ナンバーに変える前に荷物を運んでいいですか?
A. ダメです。運輸開始前確認や事業用自動車登録など必要な手続きが完了する前に、有償で一般貨物自動車運送事業を行うことはできません。
Q. 車両が複数ある場合、全台同時に緑ナンバーにしないといけませんか?
A. 一度に全台変更する必要はありませんが、事業計画で届け出た台数の確保は必要です。1台ずつ変更する場合はその都度手続きが必要になります。
Q. 運賃料金設定届の運賃はどう決めますか?
A. 国土交通省が告示している「標準的な運賃」を参考にするのが基本です。後から変更もできますが、最初から標準的運賃ベースで設定しておくと、荷主との交渉でも根拠になります。
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